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師匠は酒に凄く強かった。

いつも教えてもらう時は

ウイスキーをぐっと飲んで喋る。

 

良い音出したきゃ良いギター買え。

サウンドメイクがどうのこうので悩むのはナンセンス。自分の出したい音で勝負しろ。

と良く言ってた。

 

師匠はギターももちろん上手くて

ステージでも凄まじい存在感を放っていた。

 

別にテクニカルな事をしてる訳ではないけど、

立ち振る舞いとか

ライトに照らされた時のシルエットとか、

狂気じみた目つきとか、

色っぽさがあった。

 

初めて見た時は衝撃を受けた。

動きが凄く暴力的。

でも凄く華奢でひょろっとしてるのに

一撃で殺されてしまいそうなぐらい圧倒的なオーラがあって、見とれていた。

 

ボーカルもベースもドラムも目に入らず、聞こえないぐらい

完全に引き込まれきっていた。

 

 

俺らはボーカルと違って、歌詞(言葉)で伝えるわけではないからな。

自分の持ち味を活かして

曲のイメージや自分の喜怒哀楽をどう表現するか。

そっから先は

カッコ良ければ何でも正当化されるからあとは自分を信じてやれ。

 

っていうような事をずっと言うてた。

 

 

 

カッコつけやがって!

 

と、思ってたけど嫌いじゃなかった。